「お風呂のママはオニです」

お風呂のママはオニ

お風呂タイムは、ごはんを食べて少し後にやってくる。

生まれてすぐは、あたし一人が浸かれるくらいの小さなお風呂だったけど、

今はもっと大きなお風呂にパパとママと一緒に入る。

ママとあたしが先に入り、体を洗っているときにパパが遅れて入ってくる。

あたしは、顔と頭を洗われるのが苦手。

ママは平気そうに自分の顔と頭をごしごしやってるけど、嫌じゃないのかなあ

あたしの石鹸は、最近種類が変わったらしく、ママが言うには、こっちのほうが

「あわぎれがいい」

だそうだ。

でもあたしは、こっちの石鹸のほうが、目に入ると痛いような気もする。

どっちにしろ、嫌なものは嫌だ。

最近は、シャワーという、太いひもの先から水が出てくるやつで石鹸を流す。

それがなんか勢いすごくてちょっと怖いし痛い。

たまに、すごく熱いときがあって、そんなときは最悪の気分になるのだけど。

でも、あたしがどんなに

「いや！やめろおお！」

と言っても、ママはその手を止めない。

オニか？？？と思う。

「いくよおーーーー！お顔ながすよおーー」

と、容赦なく水（お湯）をかけてくる。泣き落としもきかない。

だいたい、いつも、顔を洗ってるぐらいにパパが来るんで、

この容赦ないママを止めて！と視線を送る。

でもなんか、ひげをいじったり、

「はああ」とか「ううう」

と、唸って助けには来ない。

一緒に浸かって、ママが着替えをしている間に、あたしはパパの皮膚を

ツネって腹いせにをするのだ。