Mr.Childrenアルバム「 miss you」が2023年10/4に発売。
このアルバム、筆者にとってかなり刺激的な作品だったので徹底分析、徹底レビューします!
※あくまでも個人的見解・感想です。
アルバム全体が一つのストーリーのよう
今回のアルバムは、かなり特徴的なものだったので記事にすることにしました。
まずは、
シングル曲が入っていない!
というのも珍しいのですが、
このアルバムに収録されている歌の歌詞に注目してほしいのです。
過去作のMr.Childrenの歌の歌詞は、わりと希望に満ちた…というか、
この世の中も捨てがたい、素晴らしいところがたくさんあるよ
とか
身近な幸せに気づいて、前に進もう
的な、
前向きになれたり
背中を押してくれてたりするものが多い傾向です。
ところが、今回のアルバムは、
ちょっとテイストがちがう。
前半に収録されている曲はほぼそのような歌詞がありません。
そして、後半の曲になるにつれ、
少しずつ、
そんなどうしようもない己でも、
世界でも、ただ生きていこう
そんな結末に辿り着くような雰囲気です。
今までで最も人間クサイ、
桜井和寿というバンドスターではなく
この世にたくさんいる人間の中の
1人の男の歌
という印象が強いアルバムでした。
寂しさと、情けなさと、狂気と…
それでも、
小さな希望を見つけながら生きている今を描いたストーリー。
アルバム全体がそんな1人の男の物語になっているように受け取りました。
それでは、各曲を詳しく見ていきましょう!
アルバム「miss you」1曲目〜I miss you
歌詞全文はこちら↓
この歌詞を描いた桜井さんの本当のところは計り知れませんが、
どちらかというと
マイナスの感情の部分を捉えた歌詞
という印象を受けます。
特にサビでI miss youと歌った後の
(1番サビ後)
何が悲しくて こんなん繰り返してる
(2番サビ後)
何が嬉しくて こんなん繰り返してる
誰に聞いてほしくて こんな歌歌ってる?歌ってる
(ラストサビ後)
何が悲しくて こんなん繰り返してる?
誰に聴いてほしくて こんな歌歌ってる?
それが僕らしくて 殺したいくらい嫌いです
【引用】「miss you」(アルバム『 miss you』より)作詞作曲:桜井和寿
この歌詞からは、
何か、懸命に取り組んでることの意味を
見失ったときのような感情を
表現してる印象を受けます。
たしかに、筆者も
長年続けてきている事、
しかもそれが生活や仕事の中心に
なっているような事が
ときどき
意味がないことのように思える時があります。
なにかこう
一種の虚しさのようなものがある。
そして、
そんなふうに感じてしまう自分自身に
嫌気がさしてしまう。
桜井さん、
歌詞の主人公は、
そんなふうに思うのが「自分らしい」と言っています。
そしてその自分らしさを
「殺したいくらい嫌い」
とも。
これが曲の最終フレーズです。
この歌詞は、前向きでも夢のあるものでもないけど、
強烈に共感を感じます。
桜井さんも
人間なんだと思わせる歌詞です。
アルバム「miss you」2曲目〜Fifty’s Map
歌詞全文はこちら↓
こちらも桜井さんの等身大の歌詞のように感じます。
公式YouTubeチャンネルでも
公開されているPVは、
過去作「くるみ」という楽曲のPVを
オマージュしたものです。
「くるみ」のPVの最後の場面で、
若き日の桜井さんが
自分達のバンド名を「Mr.Children」に
決めます。
それが、今、50代の桜井さんになり、
同じような場面でこの「Fifty’s MAP」という
曲のタイトルを決めるというものです。
50代になって、社会や家族の中では、
弱さや、不満などない大人の立ち位置に
なる。
だけど、ほんとはそうじゃなくって
弱さも愚痴も不満も不安もタラタラあって。
でもこれって、
50代の大人でも
ましてや桜井さんとあろうお方でも
そんな感情があるんだ!って思うと
逆にホッとしたりなんかして。
どんな偉人でも
立派な、いや、立派に見える人でも、
「人間」であることに変わりなくて。
歌詞の中にもある
似てる仲間が
ここにもいるよ
Mr.Children「Fifty’sMap」作詞作曲:桜井和寿
結局、
所詮は皆おなじ人間なんだなって思うと
自分のダメな部分も、
他人の悪い部分も
許し、讃え合えるような気がしてきます。
アルバム「miss you」3曲目〜青いリンゴ
歌詞全文はこちら↓
この曲の「青いリンゴ」について、
調べていると面白い記事がありました。
兵庫県立美術館にある「巨大な青いリンゴ」のオブジェ
これは安藤忠雄氏が作った作品です。
この青りんごは、安藤忠雄氏が77歳のときに
できたものだそうで
このオブジェについて、「青春」をテーマに
メッセージを書いているそうです。
青春の心(何にでも挑戦して夢を追い求める心)
は、何歳でも
その人の心持ちであると。
参照:兵庫県立美術館の巨大な青りんご。その意味とは https://korekara-maps.jp/
桜井さんの描くこの歌も、
まさにまだ抱いてる青春の心が
確かに自分の中にあるんだと感じている曲
という印象です。
アルバム「miss you」4曲目〜Are you sleeping well without me?
歌詞全文はこちら↓
こちらはタイトル通りのシンプルな歌詞。
桜井さんらしさが多分に表現されている歌詞ではありますが、
メッセージはシンプル。
ここにも、
「人間くさい」といった雰囲気が
よく表現されています。
「僕が一緒じゃなくても、君はよく眠れてるの?」
この嫉妬のような恨めしい言葉。
反対に、僕自身は
全然眠れていない。その苛立ち、寂しさ、
そしてボンヤリとした寝不足の感覚を
冒頭の「エチュード」で「レミレド」を何度も躓いたり、
コーヒーでシャツを汚してしまう
といった表現で
見事に表しています。
ある意味、普通の男の、めめしい所を
絶妙にかもしだしていると思います。
アルバム「miss you」5曲目〜LOST
↑歌詞全文はこちら
この曲も、
プラスとは言えない歌詞内容になっています。
ただ、その失望感の中には、
些細な幸せに気づく描写を
描いています。
掴んだ光さえ歪んで闇に消えてった
Mr.Children アルバム『miss you』より「LOST」作詞作曲:桜井和寿
願いや祈りだって腐って床に飛び散った
Mr.Children アルバム『miss you』より「LOST」作詞作曲:桜井和寿
真っ直ぐな想いだって捻じ曲がって伝わっていった
Mr.Children アルバム『miss you』より「LOST」作詞作曲:桜井和寿
このように、
何をやっても良くならない状況が
描かれています。
その後、
星でも眺めて暮らしていたい
仕事終わりに飲むビールと
年老いた2匹の犬が
僕の帰りを待っている
それだけでいい
それだけでいい
Mr.Children「LOST」作詞作曲:桜井和寿
深い失望の中にいたからこそ、
この当たり前な生活が
とても幸せなことに思える
そんなメッセージを感じ取れる
ような気もします。
ただ、締めくくりで、再び
うまくいかずに立ち尽くしている
描写をして
締めくくっています。
そこには、突きつけられている現実を
表しているかのようです。
後編へつづく!
「I miss you」のアルバムは魅力が
まだまだたくさんあります!
後編もしっかり深堀り
していきます!
お楽しみに〜
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