心理学の入門書を分かりやすくまとめるシリーズ。
今回は、引き続き「行動」についてまとめます。
参考にしている本はこちら。
本能行動
本能行動は、特定の刺激によって引き起こされるもので、生まれながらに持っている決まった反応のことを言います。
そういう点では、反射行動と同じですが、反射と異なる点は、生体の内分泌など、身体の中の状態に大きく依存していることが挙げられます。
つまり、周りの環境にはあまり左右されない行動ということ。
おもしろい研究があって、比較行動学者のアイブル-アイベスフェルトさんという人が見つけた「挨拶行動」というものです。
「挨拶」って、国とか地域によってやり方はいろいろあって、違うものに見えますけど、基本的な行動パターンは同じだと言うのです。
その基本的な行動パターンはとは、
- お互いに目を見つめて
- 1/6秒ほど眉を上げる
- それから微笑む
これは、どんな人種でも一緒なんだそうです。
「ヒト」という生き物が、生まれながらにして持っている本能行動なのです。
ヒトは、この行動によって、お互いの攻撃性を弱めるのだとか。
本能行動は、反射と同じく感覚が支配した行動です。
これらの適応する範囲は限定的で、多様な環境変化にはついていけない場合も多々ありです。
習得的行動
多様な変化についていくためには、さまざまな環境下でのやりとりで、新しい行動の仕方を習得していく必要があります。
習得的行動の基本は、条件付け。
何かあること(条件)に対して行動を起こす。
ということですね。
われわれ生体は、その条件によって新たな行動を習得していくわけです。
大きく
- 古典的条件付け
- オペラント条件付け
に分けられています。
古典的条件付け
有名な言葉としてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
パブロフの犬🐶
これは、パブロフさんという人が研究したものです。
犬に、ベルの音を鳴らしてからエサをあげる
ということを繰り返していると、ベルがなるだけで「ごはんだ!」と反応して犬は唾を出すようになる、といった研究です。
ここでは、ベルの音が、あらかじめ犬に食べ物が与えられるよ!と予告しています。これを予報的信号って言います。
予防的信号によって、私たちは、準備をすることができる、というわけです。
この研究は、20世紀ごろされたものなのですが、その後の研究の典型となったので、
古典的条件付けと呼ばれるようになったんだとか。
オペラント条件付け
オペラント条件付けは、スキナーさんという人が研究したもの。
これは、ネズミの実験で、レバーを押すとエサが出る、のようなことが繰り返されると、ネズミはそれを覚えて行動するようになります。
レバーを押すことが、報酬を得るための道具(手段)だとするので、道具的条件付けとも呼ばれます。
古典的条件付けのパブロフの犬は、ベルの音という刺激に対する反応(レスポンス)で起きるもので、レスポンデント条件付けとも言われます。
それに対し、スキナーのネズミは、道具を使って自分から行動するので、自発的な行動(オペレート)という意味からオペラント条件付けと言われています。
オペラント条件付けは、「○○すると、こうなる」というような、約束的信号に応じた自発的な行動です。
自発的に行動をして、望ましい事態をもたらす、ということです。
行動の間接化
古典的条件付けやオペラント条件付けのような習得的行動によって、行動の適応範囲がグンと広がります。
しかし、条件付けによる習得行動が成立するためには、
- 信号の直後に報酬(エサなど)が出る
- 信号と報酬が近くにある
- 生体が信号や報酬のそばにいる
というように、信号刺激と、生体が時間的・空間的に近くであることが必要です。
でも、日常生活においては、すべての物事がそういくわけでもなく、
信号刺激と報酬の位置が遠かったり、報酬を得るまでに時間がかかったりします。
必ずしも何かの刺激信号から、すぐさま報酬を得ることはできないわけです。
これを
間接化した状況
といいます。
生体が、この間接化した状況でも、適切に行動できるようになれば、適応範囲はもっともっと広がるわけです。
今日の勉強はここまで!
どんどん行動の範囲が拡大されていったお話でしたね。
また次回お楽しみに!
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